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最悪の朝

こんな事を書くのは辛いしいちいち報告する必要もないのかも知れないけど脇役としてぽつぽつ僕の日記にも出て来ていた子犬が今日の朝亡くなった。
昨日まで一緒にキャンプに行き楽しい時間を過ごしたのに運命とは分からないものだ。

今朝もいつも通り息子が庭に朝のトイレに連れて行き二階の玄関まで戻ろうとしたところ子犬が嫌がり息子も犬になめられたらいけないと思っているので綱引きになり首輪が抜けてしまったらしい。
そのまま子犬は外に逃げて息子は普段からの言い付けである「犬が逃げても追うな、怒らないからまず親を呼べ。」と言う言葉を守ってすぐに寝ている僕の所に来た。

今までも配達員が来た時に紛れて二度逃げたり母の家で首輪が抜けて逃げたりしていたのでそれほど大事とは思わずまた近くのマンションかドラッグストアにでも行ったかなと思いすぐ起きて息子にどちらに逃げたかを聞いた。
息子は「出て右」と答えた。
一瞬にして青くなり急ぎ家を出て探す、右には国道があり通勤時で車も多く少し進めばバイパスもある。
今まで人気のない左にしか逃げた事がないのにと急いで向かうが姿は見えない。
最近よくうちの社長が子犬にリンゴをあげて懐いていたので会社に行ったのかと思ったがそこにも姿が無かった。
もうこうなると当てが無いのでよくトイレに行く土手を探しに行き息子は会社で待つ様に伝えた。
居ないので帰りながら会社近くの知り合いの店で「犬が逃げたんですよ、捕まえてもまた首輪が抜けたらいけないから先に首輪を買いに来ました。」と言って30秒程だろうか。
「犬が轢かれた! あんたんとこのじゃないかね! 茶色いよっ」と言われ「うちのはクリーム色だから・・・。」と思いながらも野良犬なんて滅多にいないので状況的に不安になり走って飛び出すと会社の真ん前で息子と上司が子犬を道路から歩道に抱き抱えて連れて来ていた。

僕は外傷は無さそうだけとぐったりした首と痙攣を見て絶望的な気持ちになりながらも走り寄り子犬を見た。
大きな痙攣をし目は遠くを見ている様な感じで息子は痙攣している事で動いてるからか「ああ、良かった。」と呟いたが僕はもうどうにもならないのだとすぐに悟った。

5.6度位だろうか頭を大きく痙攣させ最後に小さくビクッと動いてピタリと動きが止まった、赤かった舌がみるみる白くなり既にハエが寄って来た。
僕は首に手を当てて「死んだ。」とだけ呟いた。
その瞬間に息子は大粒の涙を流し何度も子犬の名前を叫び上司も隣人も通行人の見物人もこれはとても見ていられないとそそくさと立ち去った。

僕は会社から箱を貰い子犬を入れてとにかく家まで運んで居間だけをキンキンにクーラーで冷やした。
妻に「子犬が死んだ、交通事故だ。」と伝えると妻は慟哭し「さっきキャンキャンと言う悲鳴が聞こえた、事故だと思ったけどうちの犬じゃないと思ったしもしかしたら貴方が怒って叩いたのかと考えていた。」と答えた。
「でも本当はうちの子犬が轢かれた様な気がした。」と・・・。

僕は一人涙も流せずどうしたらいいのか途方に暮れた、自分としては庭にでも埋めてやりたいが地主である母が反対するだろうし妻も同意しそうにない。
結局かかりつけの動物病院から山口市吉敷郡にある竜蔵寺を紹介して貰いそこにある山口動物霊園にて火葬して貰い寺院内に埋葬して貰う事になった。
こうしてすべてが決まった途端に僕も涙が止まらなくなった、子犬なのに死なせてしまった事や痛かったのか最後に何を見たんだろうとかいろいろな事が浮かんで来た。
うちに来て3ヵ月だけだったけど幸せだったんだろうか、恨んではいないだろうか・・・。

まだ温かく硬直もしていない遺体を撫でながら僕と息子はずっと泣き続けた。
妻の用意が出来たのですぐ車のクーラーをガンガンに効かせて犬を山口まで運んだ、紅葉で一度来たお寺で良い所だったからまた来ようと言っていた場所なので迷わずに着いた。

着いたらすぐに最後のお別れをして線香をあげ火葬装置に入れられるのを見送る。
最後の別れも小さな犬が火葬台に乗せられているのを見るのもとても辛いものだった、妻は泣き崩れてなかなか遺体から離れようとしなかった。

少しのドッグフードとよく噛んでいた玩具を添えて子犬は扉の向こうに消えて行き大きな機械音が轟き始めた、僕と息子はずっと手を合わせていたが職員に促され手続きをし夕刻埋葬される予定の共同墓地の見学に行った。
埋葬には立ち会えないので別の日にまた来るしかなく後ろ髪をひかれる思いで家に戻り全員泣き疲れて眠ってしまった。

今日ばかりは大事なアルビノ達の世話もどうでもいいと思える位投げやりになっていた。
夏の旅行でペットサロンに預けていて迎えに行った時のあの嬉しそうな姿や数々の悪さを思い出しては子犬の名前を呻いて泣くの繰り返しだった。
思えば母の家には僕の育てたラブラドールがいてまだ健在だから彼への遠慮もあり、また子犬が僕に一番懐いてしまうと妻や息子が可愛がらなくなったらいけないといつも一歩下がった所で接し恐い役を演じる様にしていたのだが萩の時も四国の時もまだ遊びたがる妻子の不満にも早く子犬を迎えに行ってやりたいと帰路を急いだ事を思えば僕も相当にこの子犬を愛していたのだなと今更ながら気付いた。
失った命は帰って来ない。
夜に妻と話し合った。
悪いのは息子でも犬でもない僕らだと、首輪を早くハーネスに変えておくべきだったしやはりまだ子供だけで庭とは言え散歩は早かったのではないかと。

目撃者によれば子犬は会社の反対側に渡り交通量の多い道を来る車にぶつかる様にして飛び出したと言う事だった、僕もまさかあの交通量の多い道を既に渡っていたとは思わずにいた。

たったの3ヵ月、でもずっと一緒に家の中にいた。
今のうちは全く静かで皆の心にもぽっかり穴が開いている様だ。
本当に可哀想な事をした、もっとしてあげたかった事や一緒にしたかった事たくさんあった。
子犬の死に目を看取った僕と息子にとっては心の大きな痛みになってずっと一生忘れられないだろう。

いつかあの世があるならば、もう一度会って心から謝りたい。
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地中海リクガメとサッカー、そして山口をこよなく愛しています。

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